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2017年4月現在の肩書は【株式会社ニッポン放送 ビジネス開発センターネクストビジネス戦略部副部長アナウンサー】!カルチャー情報サイト「yoppy」アイコン吉田尚記関連のあれこれをぎゅっと詰めました!

独占連載:フジテレビの皆様を前に、吉田が語る「現代オタクの作法とタブー」⑤ アイドリング!!!の話

1月22日金曜日朝にフジテレビで開催されたモーニングセミナー(講師:吉田尚記)。
題して、吉田尚記が語る「現代オタクの作法とタブー」。

コンテンツを作る「中の人たち」に向け、彼が語る今。
その模様を「yoppy」独占・連載でお届けしています。

5回目の今日は、「アイドリング!!!」のお話。

※講演の一部を記事にしております。全部を聴きたい方はページ下動画にて、配信中。

 

「アイドリング!!!」は「意味があったアイドル」

どうも、本当にわかっている「事務所の運営の人」とか「作品の運営の人たち」っていうのが、放送のことを無視しているわけでもどうやらないぞと言う感じはみなさま受けてんじゃないかなと思うんですけど、それって「露出を稼げばいい時代じゃなくなった」のですね。

ここでアイドリング!!!の話をしてもよろしいでしょうか(笑)

アイドリング!!!って、いろいろと「ゲームチェンジ」の前の文脈を全部背負っててくれたなって感じのするアイドルなんですね。ボク、大前提として言うと、「アイドリング!!!ってすごい意味があったアイドル」さと思ってます。
どういう意味があったかというと、アイドルって10数年前には無くなっちゃっておかしくない文化だったんですよ。そうだったんだけど、最後種火になっちゃってたやつを消さないでずっと続けていてくれたグループがアイドリング!!!だなと思っていて。アイドリング!!!がいなければ、ももいろクローバーZも無かっただろうし、AKBがあの状態になることも無かった。
おそらく旧来のアイドルの文脈だと「メディアはどこでもいいから、ずっと露出をキープし続けることが、アイドルにとっての生命線だ」と思われていたんだと思うんですね。
だけど、例えば「ラブライブ」なんて、まったく出てないですから。これアイドルじゃないですけど。それなのに、さいたまスーパーアリーナがはちきれんばかりになっちゃうみたいな現象も起きるようになっているわけですね。
それこそ、武道館のリストと見て頂けるとわかるんですけど、全然知らないアーティストが武道館いっぱいにしている現象をいっぱい見ると思うんですよ。あれはもう、今までと違ったルールで人が動いてるぞということの証明なんですが。
アイドリング!!!の話に戻りますと、旧時代だと「アイドルは形はいいから、露出の量をキープしなければならない」っていう状態だった。そういう状態でやってきたんだけれども、アイドリング!!!は誰からどう見ても「やっぱりフジテレビのアイドル」だったという風に見えてたと思うんです。そうすると、1ヶ所から来る情報になってるんですよ。
で、次の時代のももいろクローバーZからすると、ももクロってどうやってブレイクしていったかっていうと、明らかに「一方向からじゃない」んですね。同時多発的に、いろんな方向から情報が押し寄せてきて、Aさんも良いって言ってる、Bさんも良いって言ってる、みたいなことで、今みたいなブームになっていった。
AKBもなんだかんだいって、自分たちの劇場があったっていうでっかい理由もありますけど、そこの劇場が基本なので、他のメディアがいくらでも相乗り出来たっていう所がすごく大きくて。

最近、予防医学者の石川善樹さんっていう方とよく話をしておりまして、彼がどういうことを考えているかと言うと、「物事が流行る」とはどういうことか?と。
で、話を聴いていると、「予算が無い状態で、ある村全体の流行を防ごうと、ごく一部の人にだけワクチンが打てる場合、どうするか」みたいなことを考えると、100%全員に打つ代りに、村の情報経路を整理して、キー(鍵)になっている人に何十%に打つだけで、ほぼ100%に近い効果をあげることが出来るみたいな研究をしている人がいて、その人が、最新著作として出しているのが「最後のダイエット」っていう本なんですね。日本とアメリカってGDP同じくらい当然高いわけじゃないですか、なのに日本とアメリカでは「肥満率」があまりにも違う。この差は何なのかと言うと、「太ってる人が当たり前か、そうではないか」の「常識の差」に過ぎない。じゃあ、その常識っていうのはどういう風に生まれるのかっていうのを分析していて、「最後のダイエット」という手法まで落とし込んで結論どうでてるかって言うと、「ダイエットは‘友達‘の‘友達’とやると良い」って話になってるんですよ。

友達とやると、どちらかがへこたれた時に、「あいつもへこたれたから、俺もいいか」っていう状態になってしまう。でも、友達の友達、正確にはその2人は友達ではないです、その2人が同時にダイエットを始めると、2人とも成功するんですよ。間に挟まれてる人(共通の知人)も、両方からの相互作用で「常識が変わる」ので、ダイエットが成功するっていう話をしていて。

これをアイドルまでつなげて考える「物好き」はボクだけだと思うんですが、さっきのアイドリング!!!の現象は何か、ももクロの現象は何かと言うと、冷静に僕らは「自分の価値観が変わる時」ってどんな時なんだろうと。価値観が変わらないとブレイクとか起きないじゃないですか。
一番初めに誰かから情報を聴いたときって、それだけで自分の価値観が変わることってあんまり無いんですよ。「なんか、ももいろクローバーZがいいらしいよ?」「あ、そうなんだ」みたいな。1回目だと、ほぉ、そうなんだなんですよ。でも、あれ?って価値観が変わるのは、たぶん、別の関係ない方角から誰かが同じ情報を思った瞬間にかなり変わるんですよ。変わりやすい人だとここで変わる。一番目だけで変わる人はそんなにいない。二番目で変わる人は結構いる。もっと言うと、もう1ヶ所別の所から更に聴くと、かなり決定的に価値観は変わる。

なので、今物事を広げていくためには、3ヶ所位から同時に火がつかないとブレイクしない。これってみんなも無意識のうちに、自分たちの中で精査してるはずなんですよ。誰かだけがいいと言っているものは、ポジショントークに過ぎない。たぶん、ここしばらく、僕らは「ポジショントーク」みたいなものに慣れてしまっているので、1回目は信じないけど、2回目、3回目の時に「本当だ」と思って動き始めるっていうのを無意識のうちにやっている。

そうすると、大変失礼ながら、アイドリング!!!ってどうしても1方向からしか来なかったんですよね。