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声優落語天狗連

アニメ『昭和元禄落語心中』のテレビ放映に合わせてスタートした「アニメ×落語×声優」の異色コラボイベント。その名も「声優落語天狗連」。年100本近くのアニメイベントMCを務め、落語研究会出身のニッポン放送アナウンサー・吉田尚記と、同じくアニメ好きにして落語研究会出身、イベント「渋谷らくご」をプロデュースする学者芸人・サンキュータツオのダブルMCで展開中の「声優落語天狗連」の魅力をお届けします!

柳家喬太郎師匠 “22年の時を経て並んだふたつのサイン”

「緊張はしてないんですけど、神妙な面持ちではありますね」と、言葉のとおり、羽織袴姿のかしこまった表情で居住まいを正すのは、吉田尚記アナウンサーだ。ここは早稲田大学大隈記念講堂の大講堂、ステージ裏の控え室。この日、吉田尚記は「enpaku」こと早稲田大学演劇博物館主催の企画展「落語とメディア」同時開催のトークイベント「柳家喬太郎×『昭和元禄落語心中』」の司会を務めるのだ。

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吉田尚記といえば、アニメ『昭和元禄落語心中』好きが高じて、「アニメ×落語×声優」の異色コラボイベント「声優落語天狗連」のMCとしても活躍中。自身も慶應義塾大学在学中、落語研究会に所属していた落語ファンだ。イベントのトークテーマ、『昭和元禄落語心中』も落語の話題もどんとこい!……なハズだが、なぜそんなにも“神妙”に!? その理由は、ゲストの顔ぶれにあった。

本日のゲストは、『昭和元禄落語心中』の主人公・与太郎役の声優・関智一さん、同アニメの音響監督であり声優の辻谷耕史さん、そして、古典から創作まで幅広いレパートリーで“天才”を発揮する人気落語家・柳家喬太郎師匠! じつは吉田尚記は、落研時代から大の柳家喬太郎ファン。「僕が18歳、喬太郎師匠がまだ二ツ目時代に高座を拝見し、感動して自分の高座扇にサインをいただいたんです。そんな“神様”に22年ぶりにお会いできるとあって、実物を持ってきました」と、感慨深げだ。

トークイベントは13時半スタート。約900人が詰めかけた大講堂に出囃子が流れて、吉田尚記が登場。「今日は落語とアニメのイベントですが、この中で落語バージンの方は手を挙げて? 1~2割ですか! 今日は柳家喬太郎師匠の落語もあります。いや~、初めて抱かれるのがあんな床上手だなんて、うらやましい!」と、局アナらしからぬ下ネタで笑いを誘う。そして『昭和元禄落語心中』の原作漫画を紹介。今年1月~4月に放映されたアニメ第1期を、声優がたっぷりと演じる落語シーンを中心に、約20分にまとめたスペシャル映像も上映された。

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続いてステージに登場したのは、関智一さん、辻谷耕史音響監督のおふたり。吉田尚記の司会で、アニメ『昭和元禄落語心中』の裏話がたっぷりと語られた。辻谷さんからの「落語家役のオーディションは、全尺15分の落語『死神』や『野ざらし』を3分でまとめて話してもらった」、関さんからの「落語シーンは、落語監修を手掛けた林家しん平師匠の落語に合わせて画を作っているので、ビデオを観てタイミングを身体に入れて演じた」といった貴重なエピソードの数々に、吉田尚記も客席も感心しきり。

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柳家喬太郎師匠を呼び入れてのトークでは、さらに落語の魅力を伝えるエピソードが満載だった。(もちろん例の高座扇も、自慢げに(?)お客様に披露!)

この日、初めてアニメ『昭和元禄落語心中』を観た喬太郎師匠は、「(関智一演じる)与太郎は、僕より上手い。『出来心』で僕はあんなにウケたことがない(笑)。ストーリーのない『出来心』は『死神』よりも難しい演目」と噺家ならではの視点で解説。さらに、現在の落語ブームについて意見を問われると、「今は二ツ目の落語会が満員になる盛況ぶり。落語自体を好きになっていただくのは嬉しいが……場末の営業で傷つき立ち直ってということがなく、真打ちになる前にちやほやされると、足腰の弱い芸人が増えてしまう」と一言。「こんなことを言うつもりじゃなかったんですけどね(苦笑)」と、若手ブームにチクリと釘を刺すひと幕もあった。

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休憩を挟んで、いよいよイベントは真打ちの登場へ。柳家喬太郎師匠が、アニメの中で石田彰演じる名人・八代目 有楽亭八雲の十八番として語られた『死神』をたっぷりと披露する。日本大学落研時代のコミカルなエピソードを枕に交えて語られた『死神』は、まさに珠玉の名人芸。圧倒的な臨場感と絶妙な語り口に、大きな拍手が贈られた。

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終演後、ステージ袖で“神様”の落語を堪能した吉田尚記は、「こんな特等席で高座を拝見できるなんて、二度とない!素晴らしかった!」と興奮ぎみ。さらに出演者の記念撮影のあと、我々取材班に促されて恐縮しながら例の扇子を差し出すと……喬太郎師匠は「サイン? もちろんさせてもらいますよ!」と笑顔で快諾。

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22年の時を経て並んだふたつのサインと2ショットの記念写真に、感激しきりの吉田尚記であった――。

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【取材・文:阿部美香】