年間約500冊の漫画を購入する生活を20年以上続ける“マンガマニア”で、“マンガ大賞”の発起人でもあるニッポン放送アナウンサー吉田尚記が毎週1冊オススメの漫画を紹介する「講談社presents 吉田尚記のコミパラ!」
海外出張のためお休みの吉田アナウンサーに代わり、清水久嗣アナウンサーが代打を務めた第22回目に紹介したのは、『少年マガジンR』にて、好評連載中の予測不可能なダーク・ラブサスペンス漫画「今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね」(漫画:榊原宗々 原作:要マジュロ)。
清水:今週は、吉田尚記アナウンサーがお休みなので、私がこのコーナー担当させて頂きます!
清水久嗣がオススメしたい講談社コミックを里崎さんを始め、ラジオをお聴きの皆さんに
紹介します。ということで、早速、今晩ご紹介するのは、少年マガジンRに連載中!
『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』です。
里崎:何かちょっと題が凄くないですか?
清水:急に来ますでしょ?
里崎:インパクトが!
清水:『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』。実は、メインタイトルの下に英語の
サブタイトルがあって、“I LOVE YOU. SO I KILL YOU”。私はあなたが好き、
だから、私はあなたを殺す。
里崎:表紙の男の子の目が真っ赤ですからね。
清水:そうです。この目が一つポイントになるんですが。男女が1巻の表紙には映っていて、
男子高校生と女子高校生が映って、如何にも近づいてキスをしそうな。ただ、その男の目は、
やや殺意にも感じるという、高校を舞台にして行われる物語なんですが。登場人物は、
掃除が大好きな普通の男子高校生です。2年生の神城卓という男性高校生、
結構イケメンなんですけれども、こちらが主人公。そして、もう一人、
その神城卓がちょっと好意を寄せている幼馴染の女の子、花園魅香。
この二人を中心に進行していきます。人間なんで、里崎さんも私も奥様がいたり、
好きな人がいたという過去がきっとあると思うんですけど、好きな人がいたら、
その人に会いたいなぁとか、もっと進めば、抱きしめたいなぁとか、
手を繋ぎたいなぁとかあるじゃないですか。このお話の主人公は好きになると、
いや、好きになった人を殺したくなるんです。
里崎:それ、ちょっとヤバいね。
清水:ヤバいですよね。ちょっと猟奇的ですよね。元々、そうじゃなかったんです。
この男子高校生の主人公・神城卓がある夜に痴話喧嘩を覗いていたら、
その痴話喧嘩をやっていた男の方に襲われるんです。でも、気が付いたら朝。
何があったんだろうと思って、いつもの花園魅香ちゃんに
会いに行ったら、急にその花園魅香ちゃんの喉元に傘を刺すような映像が頭の中に
ふとよぎる。実際、殺しはしないですよ。というところで、俺は一体、
どうなったんだというところから、劇的に話は進んでいきます。徐々に行くとですね、
実はその何か起きて、ふと目覚めた神城卓君には、殺したいという願望と共に、
特殊能力が身についてしまっていたんです。凄いですよ。神城君の場合は、
パンチをしたら、校舎が上から潰れます。
里崎:ん? どういうことですか?
清水:屋上でパンチをドンっと校舎の地面に打ち付けたら、その校舎が丸ごと潰れます。
里崎:じゃあ、中にいる人ヤバいじゃないですか?
清水:ヤバいです。たまたま、実はそれをやったときは、旧校舎で、潰す校舎だったので、
オッケーだったんですけど、急にそういう良く分からない特殊能力も出てきてしまった。
常にその女のことを思うと、殺したくなる。ただですね、実はちょっと猟奇的なサスペンスで。
分からないんですよ。これが何故、こうなっていくのか。かつ、
こういった同じ目的を持った人がどんどん出てくるんです。町の中に。学校の中に。
ですから、男の子の神城卓君にしてみれば、花園魅香さんを殺しに来る人が
いっぱいいるんで、助けなきゃって気持ちがやっぱりあるんです。でも、助けなきゃって
思う気持ちと一緒に殺したいって気持ちも一緒に出てきて、この中で葛藤する男の子の話。
実は、3巻まで出ていて、第4巻が来週、17日に発売されるんですが、まだ、何故、
彼がこうなったのか、何が原因なのか、というのが分からない。
どんどん殺したいという人が出てきたり、あと、ネイブっていう、
ちょっと日本の国の人じゃない感じの留学生みたいな青年も出てきて、
これが何か一役買ってそうなんですが、仲間になったり、敵になったり、
ちょっとその辺りの立ち位置も微妙な謎の少年も出てきたり。あとは、
『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』と書かれています。“月”が出てますけども、
月が出てくるのは、ずーっと見てても中々、出てこなくて、3巻の最後に出てくるんですが、
この月が出てきた瞬間に更なる大きなどんでん返しというか、このあと、
どう話が進んでいくんだろうという楔のようにそれが打ち込まれていく
里崎:この帯のコメントが凄くないですか?
清水:“1話で驚愕し、2話で絶望し、3話で慟哭する”
里崎:凄くないですか?
清水:目を逸らさずに見て欲しい、衝撃のラスト10ページということで、
確かにちょっとね、人を殴ったり、殺したり、というシーンも出てくるんです。
ただ、アクションのシーンがあって、これは学園モノとかそういうモノとは違う
清々しさがあるアクション!本当に闘ってるというような感じのアクション。
かつ、ラブもやっぱりあるんで、ラブストーリーもありつつ、謎が謎を呼ぶ、
サスペンスという。この3つの中で自分が咀嚼するのがとても難しいんですけれども、
どんどん先が読みたいっていうよりかは、どうしてこうなったんだろうというのを
ちょっと恐る恐る1ページずつ、1巻ずつ紐解いていくという味わいの作品なんですね。
人の目を惹きつける「今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね」という衝撃的なタイトル。
しかし、ただ衝撃的なだけでなく、とある偉人のエピソードが背景に隠れているらしく――。
清水;実は、どんどん調べていくと、『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』って
ちょっと緩急ついているじゃないですか?
里崎:ついてますね。
清水:実は、“I LOVE YOU. SO I KILL YOU”。これ、実は、夏目漱石さんが英語教師のときに、
生徒に「“I LOVE YOU”っていうのは、“私はあなたが好きです”という訳し方で良いですか?」
訊かれたときに、夏目漱石さんは、「いや、日本人だったらもっと風流があって、
“今宵は月が綺麗ですね”くらい言っておきなさいよ」ってエピソードがあるんです。
そこから来てるんですね。ですから、ちょっと文学的にも面白いお話でもある
『今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね』。
清水:例えば、里崎さんも野球をプレイされていたときに、普段は、良く話すんだけれども、
プレイになると人がガラッと変わって、目から火がボーボー燃えているような選手とか
いませんでした?
里崎:あんまりそんなの気にしたことなかったです(笑)
清水:ですよね(笑) というのも、実は、タイトルと同じように出てくるキャラクターも
本当にガラッと人格が変わるんですよ。
里崎:今、パラパラっと見ましたけど、普段は全く普通の好青年っぽく描かれているのに、
ページをめくった瞬間に全く別人になったような猟奇的な顔になって、姿になる。
でも、それが現実なのか、現実じゃないのかを1ページで変化させるこの展開の凄さ。
これね、やっぱり次のページが楽しみで仕方ないって気持ちは分かりますね。
清水:人を殴った3ページ後には、「おう!元気?」っていう少年少女の会話が
交わされているような。
里崎:え? どういうこと!?って見返しちゃいますよね。
清水:本当、そうですよね。だから、我々もこれが現実なのか夢なのか、いや、
やっぱり本当に起こっているんだっていう回数が多くなってくるんですよ。
というところも徐々に徐々に味わいながら、3巻まで出て、これから第4巻。
私も一気に読んで、さらに来週の第4巻が楽しみになりました。
『少年マガジンR』にて、好評連載中の予測不可能なダーク・ラブサスペンス漫画「今夜は月が綺麗ですが、とりあえず死ね」(漫画:榊原宗々 原作:要マジュロ)。第3巻の衝撃のラスト!そして、真章に突入する第4巻。
怒涛の展開に目が離せない作品となっている。
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吉田尚記のコミパラ! | ニッポン放送 | 2017年3月10日(金)
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